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ファン作りは売り上げにコミットしているか?――日本マクドナルド、西友、カルビーのマーケティング幹部が語る「アンバサダーサミット2017」レポート(1/2 ページ)

「アンバサダーサミット2017」から、「CMOや宣伝部長の視点から考えるアンバサダープログラムの課題と可能性」と題したパネルディスカッションのダイジェストを紹介する。

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 アンバサダーとは一般的には「大使」と訳され、「ブランドアンバサダー」といえば広告に登場する著名人や芸能人が任命されることが多い。しかし、最近ではソーシャルメディアを通じて一般ユーザーの口コミが他のユーザーの消費を後押しすることもあることから、アジャイルメディア・ネットワークでは、「企業の製品やサービスに強く反応し、その内容を周囲に発信、宣伝してくれる熱意を持ったファン」(※)のことを「アンバサダー」と定義し、これを活用したマーケティング手法である「アンバサダープログラム」を提唱している。

※「ブランドアドボケイト」と呼ばれることもある。

 同社が2017年2月3日に開催した「アンバサダーサミット2017」では、アンバサダープログラムに取り組む各社のマーケティング責任者が「CMOや宣伝部長の視点から考えるアンバサダープログラムの課題と可能性」をテーマにパネルディスカッションを繰り広げた。ステージに上がったのは日本マクドナルド 上級執行役員 マーケティング本部長 足立 光氏、西友 マーケティング本部 バイス・プレジデント 木村真琴氏、カルビー マーケティング本部 コミュニケーション部 部長 山村 眞氏。アジャイルメディア・ネットワーク 取締役CMO 徳力基彦氏がモデレーターを務め、各社の取り組みを語った。


アンバサダープログラムの課題と可能性についてマーケティング先進企業のCMOと宣伝部長が語った

自社製品へのファンに対してどのようなサービスを提供しているか

 最初にマイクを取ったのは、カルビーの山村氏だ。カルビーは2007年から「それいけ!じゃがり校」という「学校」スタイルのファンサイトを運営している。毎年春に「じゃがりこ」に関連した「入学試験」を実施し、その合格者のみが利用できるという、コアなファン向けのオンラインコミュニティーを形成しているのだ。


カルビー マーケティング本部 コミュニケーション部 部長 山村 眞氏

 アンバサダーとなり得るロイヤリティーの高いユーザーを育てるには、このようなイベント以外にも地道な努力が必要だ。山村氏はユーザーからの信頼を得るための施策として「お客様相談室」の品質維持について言及した。ここで徹底されているのは「15分、2時間、14日」というルールだ。

 「寄せられたクレームは全て本社が受け取り、その後、15分以内に当該地域を管轄する支店のお客様相談室に連絡する。連絡を受けた担当者は2時間以内にご指摘をいただいたお客さまのところへ訪問、電話連絡を行い、かつ受け取った意見に対する報告書を14日以内に提出することになっている」(山村氏)

 このような取り組みは、ユーザーからも評判が高い。実際に、クレームを入れたユーザーのカルビー商品再購入率は96%と高水準だ。

 続いて、自社の取り組みについて語った西友の木村氏は、「コスパ情報ライブ」の目的について紹介した。これは、西友に来店したユーザーが店頭で見た商品の値段を投稿し、情報をまとめているWebサイトだ。


西友 マーケティング本部 バイス・プレジデント 木村真琴氏

 木村氏は、新聞の購読率が低下していることについて触れ、従来は重要視されていた折込チラシの広告効果が落ちていることを指摘する。そして「将来的にはこのようなユーザー参加型のファンサイトによって、チラシや新聞折り込みよりも鮮度の高い情報をお客さまに発信していきたい」(木村氏)と、コスパ情報ライブに強い手応えを感じているという。

 日本マクドナルドの足立氏は、従来のマス広告に加えて、アンバサダープログラムにも力を入れ始めたいきさつについて語った。2014年の賞味期限切れ鶏肉問題や2015年の異物混入問題など不祥事が相次ぎ、同社は信頼を失っていた。足立氏は当時の状況について、「お客さまにどんな情報を伝えても信じてもらえないという状況だった」と振り返る。


日本マクドナルド 上級執行役員 マーケティング本部長 足立 光氏、

 しかし、これが1つのターニングポイントになった。そのような状況であっても、日本マクドナルドには1日当たり100万〜200万人が来店していた。「従来のやり方で宣伝効果を期待できないのであれば、このような状況でも来てくれるお客さまを意識したマーケティングに切り替えるべきではないか」という考えに至り、2016年以降はアンバサダープログラム的なファンを重視した試食会などの取り組みにも注力している。

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