DDTプロレスリングに学ぶ「プロレスをニュースにする」極意:【連載】池田園子の「マーケ目線」 第1回(1/3 ページ)
「文化系プロレス」として知られ人気を博すDDTプロレスリング。昭和のプロレスを知らない若い女性ファンにも支持される異色インディー団体に、リアルタイムエンゲージメントの極意を学ぶ。
連載「池田園子の『マーケ目線』」について
編集者/ライターの池田園子と申します。マーケティングのプロではありませんが、これまで「ITmedia マーケティング」をはじめ、さまざまな媒体でデジタルマーケティングに関連した記事の取材と執筆を担当してきました。そのせいか、人生で出会うアレコレについて「これってマーケティング的にいうと?」と考える習慣が身についてしまい、このたび連載を持たせていただくことになりました。ここでは、現在私が気になっている人やサービス、企業などをマーケティング視点でフィーチャーし、読者の皆さまの思考の幅を広げるためのヒントを抽出していきたいと考えていきます。
DDTプロレスリング(ディー・ディー・ティー・プロレスリング)という団体をご存じだろうか。タレントやアーティストとコラボしたり、リング上ではなく路上や酒場のような小規模会場で試合を行ったり――。体育会系イメージの極北ともいえるプロレスの世界にエンターテインメントの要素をふんだんに盛り込み、「文化系プロレス」として若い世代に浸透している(かく言う私はDDTのおかげでプロレスが趣味となった)。
2009年からは両国国技館、2012年には日本武道館での興行を行うほどの動員力を培い、2017年にはさいたまスーパーアリーナで旗揚げ20周年興行を予定しているというDDTだが、ここに至るまでの道は決して平たんではなかった。
DDTは故ジャイアント馬場氏の全日本プロレスやアントニオ猪木氏がいた新日本プロレスのような、長い歴史を持つメジャー団体ではない。1997年に誕生し、旗揚げした当初は無名選手ばかりだったという。往年のプロレスブームは既に去った後で、マスメディアがプロレスに興味を持つことはほとんどない。ならば専門誌はどうかといえば、こちらはこちらで、一介のインディー団体など相手にもしてくれない。
そんな恵まれない境遇を逆手に取って、常識にとらわれない手法で新しいプロレスファン獲得に20年近く奔走し続けてきたのが、DDTプロレスリング代表取締役兼選手の高木 三四郎氏だ。
プロレスで凶器を使うのは反則(※1)だが、マーケティングには「武器」がいる。DDTが使った武器は「動画」と「Twitter」「オフィシャルサイト」の3つだった。
※1:DDTでは、一定時間ごとにさまざまな凶器が登場して自由に使用できるルールの試合を開催したこともある。
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