ITR、マーケティング関連業務におけるIT活用意識調査の結果を発表:情報システム部門に依存高
アイ・ティ・アールは6月26日、国内企業における「マーケティング関連業務におけるIT活用に対する意識調査」の結果を発表した。
「マーケティング関連業務におけるIT活用に対する意識調査」は今年4月、IT活用の重要性が高まりつつあるマーケティング業務において、IT活用の実態と運営/支援体制の状況を探るために実施したものだ。有効回答数は235社。
まず「企業のホームページの更新/管理およびWebサーバの運用管理の担当部署」については、ホームページのコンテンツ(記事)の更新/管理を請け負っている部署に関し、「主に情報システム部門」という企業が43.0%、「主に広報宣伝/マーケティング/販売企画部門」が25.1%となっている。一方「ホームページ用のWebサーバの運用/管理」になると、「主に情報システム部門」という企業が全体の61.4%で、「主に広報宣伝/マーケティング/販売企画部門」が6.9%と、かなり情報システム部門に依存していることが分かる。なお、どちらの場合も「外部委託」しているという企業が全体の5分の1〜4分の1ほどいることが分かった。
またマーケティングツールの導入状況については、上から順に
- メール配信ツール:57.4%
- Webアクセス解析ツール:44.7%
- Webコンテンツ管理ツール:40.0%
- 顧客関係管理(CRM)システム:38.3%
- 統計解析/データ分析ツール:37.0%
が「導入済み」となっている。最下位は「ソーシャルメディア解析ツール」(11.9%)で、51.5%の企業が「未導入であり、今後も利用予定はない」と回答している。ただ、ソーシャルメディアが提供する無料解析ツールを利用していることも考えられるため、導入率が低いからといって「ソーシャルメディア解析が不要」というわけではないことに注意したい。
ちなみに「マーケティングITツールの製品選定〜導入〜運用における主管部門」を尋ねたところ、圧倒的に情報システム部門への依存度が高く、「製品制定」では68.1%、「導入」では75.2%、「運用」では59.7%という結果だったという。次点は広報宣伝/マーケティング/販売企画部門で、特に「運用」フェーズにおいて主管部門となる割合は17.0%となっているが、全体としてはやはり情報システム部門の存在が必須といえる。マーケティング業務のIT活用において、マーケティング関連部署と情報システム部門の密なる連携が求められているのは確かなようだ。
なお、「マーケティング関連のITシステムの導入/活用に対する企業姿勢」を尋ね、その結果を回答企業の事業形態別に分析したところ、BtoC業界では半数近くが「自社の売り上げや競争力の向上につながるので、積極的に導入/活用すべきだと思う」という回答を占めている。一方、素材系や組み立て系などのBtoB業界では、同様の回答をしている企業の割合は全体の30.5〜32.4%であり、一般消費者を対象にしているBtoC業界との温度差が明らかになった。
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