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庭山一郎氏らが語る、B2Bマーケティングに求められる人と組織「The Marketing Nation Summit 2017」レポート(1/2 ページ)

マルケト主催「The Marketing Nation Summit 2017」では「マーケティングの組織と人材育成」をテーマに、シンフォニーマーケティングの庭山一郎氏と横河電機の阿部剛士氏によるパネルディスカッションが行われた。その要点をお届けする。

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 長年にわたり技術力と営業力に依存し続けてきたB2B企業も、販路の拡大を目指して流行のデジタルマーケティングにチャレンジしようとしている。しかし、実際にやってみようとなると、組織風土や人材不足など、越えなければならない壁が幾つも存在することに気付く。B2B企業において、マーケティング部門はどのような立ち位置で、どこを目指すべきなのか。

 本稿では、2017年10月13日に東京・六本木のグランドハイアット東京にて開催された「The Marketing Nation Summit 2017」(主催:マルケト)における数々のセッションの中から、「マーケティングの組織と人材育成」について語られたパネルディスカッションの模様をお届けする。登壇者は横河電機 執行役員 マーケティング本部長の阿部剛士氏とおなじみシンフォニーマーケティング 代表取締役の庭山一郎氏。早稲田大学大学院教授の川上智子氏がモデレーターを務めた。

マーケティング部門はどうすれば営業と連携できるか


阿部剛士氏

 まずはマーケティング組織の欧米と日本の違いについて、阿部氏は日本企業におけるマーケティング部門の地位の低さを指摘した。良いモノを作れば売れた時代を長く経験してきた日本企業では、マーケティングといってもせいぜい広告や宣伝活動といったコミュニケーションに関することしか思い浮かばない人も多い。

 「マーコムはマーケティングアセットのごく一部でしかない。横河電機は典型的なB2B企業だが、R&Dや特許室、新規事業開発といった部署までも私が統括しているマーケティング本部の下に入っている。単にメッセージを発信するだけでは、海外では到底戦えないからだ」(阿部氏)


庭山一郎氏

 マーケティング軽視の傾向は特にB2B企業で顕著であり、デマンドジェネレーションなどの営みは、あまり顧みられてこなかった。庭山氏は「B2Bマーケティングに関して、日本は米国の15年遅れだと感じている。マーケティングオートメーション(MA)の普及1つを取っても、米国が2000年だったのに対し、日本は2014年。日本でCMOのポジションもしくはマーケティング担当役員が存在する企業は、全体の10%を切っているかもしれないが、米国では、そもそも担当役員が存在しないケースは限りなくゼロに近い。差はますます開いており、ペースを上げて追い付かなければいけない」と語る。


川上智子氏

 日本企業がマーケティングに本格的に取り組むとなると、必ず生じるのが営業部門との衝突だ。大学院でマーケティングを教えている川上氏は、「マーケティングの定義として必ず“営業を不要にすること”と出てくるが、それは絶対にうそ。なくならないどころか、組織として営業は大きくなりがち」と述べる。マーケティング部門の地位の低さの裏には強大な営業部門の存在があるといってもいい。

 では、どうすればマーケティング部門は営業部門とうまく連携できるのか。この問い掛けに対して庭山氏は、「営業にとって、マーケティング部門は何をやっているのか分かりづらいことが多く、あまり良いイメージはない」と認めつつ、風向きを変えるためには「いい案件を渡すことが最善」と述べる。「マーケティングの質は後工程が評価するものではあるが、両者の地位は上でも下でもない。マーケティングが売り上げに貢献できると証明できれば仲良くなれる」(庭山氏)

 阿部氏は庭山氏の説に同意した上で、両部門の関係を密接にするためにもITの活用で人の行動を変えることが重要と述べる。「人を変えるのは難しいが、MA、SFA、PLM(Product Lifecycle Management)、DLM(Device Lifecycle Management)の4つがつながれば、組織も人もつながらざるを得ない。ITサイドから組織変革が期待できるのではないか」というのだ。

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