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ライフネット生命 岩瀬大輔氏、LINE 田端 信太郎氏が語る「若者が求める顧客接点」AI×スマホ×生命保険が実現する未来(1/2 ページ)

ライフネット生命の新サービス説明会に同社代表取締役社長 岩瀬大輔氏、LINE 上級執行役員 田端 信太郎氏、森・浜田松本法律事務所 増島雅和氏が登壇。スマホを活用したデジタルビジネスの可能性を語った。

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 ライフネット生命は2017年2月10日、スマートフォン(以下、スマホ)を利用した新サービスの説明会とパネルディスカッションを行った。会場にはライフネット生命保険 代表取締役社長 岩瀬大輔氏、LINE 上級執行役員 コーポレートビジネス担当 田端 信太郎氏、森・浜田松本法律事務所 増島雅和氏が登壇。スマホを活用したデジタルビジネスの可能性について語った。


スマホ化する生命保険

岩瀬氏
ライフネット生命保険 代表取締役社長 岩瀬大輔氏

 スマホによるビジネスの変化は、保険会社に対してどのような影響を与えるのだろうか。岩瀬氏は冒頭、海外でシェアを広げつつある新興保険会社を3社紹介した。

 1つ目は米国の医療保険会社「Oscar Health Insurance」。2014年に開業したばかりだが、医療機関と連携した24時間のオンライン医療サポートなどを実施し、膨大なヘルスケアデータを抱える。Googleから大型の出資を受けており、時価総額は既に2000億円を超えている。契約者は15万人、保険収入は7億5000万ドルという規模だ。2つ目は米ニューヨークで家財保険を提供している「Lemonade」。特徴的な点は、チャットボットとAIを活用していることだ。このAIの働きによって、請求への対応は査定から支払いまでが、わずか3秒で行われる。岩瀬氏はOscarとLemonadeについて、「消費者の生活に密着したサービスを行っている。そのため、海外では保険が生活に身近なものに変わりつつある」と語った。3つ目の「Zhongan insurance」は中国のインターネット企業として2大巨頭である「アリババ」と「テンセント」が出資してできた会社だ。そのシェアの広がりはすさまじく、初年度に6億3000万件の契約を獲得している。Zhongan insuranceに対して岩瀬氏は、「アリババとテンセントのeコマースに伴って規模を拡大させている」と語った。

 ライフネット生命が注力するのは、スマホ活用への取り組みだ。同社はスマホによって生活者と保険会社の関係性は大きく変わっていくと考え、いち早くスマホによる保険の申し込みを可能にしている。現在では申し込み全体の約5割がスマホからだという。 

 保険申し込みをより便利にするための取り組みとして、同社では2016年12月より申し込み手続きをペーパーレス化している。具体的には、本人確認書類を撮影して送付でいるようにしているのだ。現在、申し込み者の約6割がこれを利用している。

 また、2016年3月には医療保険の請求手続きもオンラインでできるようになった。岩瀬氏は「保険料が3割から5割まで安くなった上に、支払いの速度が段違いに早くなった」とその成果を強調する。診断書も不要。2016年の4月に発生した熊本地震では、全てがオンラインで完結するメリットが生きた。

若者が利用しないコンタクトセンターを「LINE」で革新する

 一方、岩瀬氏はライフネット生命の電話保険相談窓口であるコンタクトセンターについても触れた。

 同社のコンタクトセンターは、サポートサービス業界の国際機関であるHelp Desk Institute(HDI)の日本法人HDI-Japanによる「HDI格付けベンチマーク(生命保険業界)」において、「問合せ窓口(コンタクトセンター)」「Webサポート(Webサイト)」両部門で、最高評価の3つ星を5年連続で獲得している。しかし、その主な利用者は40代以上で、若年層である20〜30代の利用者は全体の4割と振るわなかった。

 その理由を探るべく同社は2016年に「生活者が希望する企業とのコミュニケーションチャンネル」というアンケート調査を実施した。これにより、若い世代は企業と連絡を取る際にメッセージアプリやチャットボット、AIを活用したやりとりを望んでいることが示された。 そこで同社では、若年層へのアプローチとして、2016年7月に「LINE」上で保険プランナーによる有人保険相談を開始した。

 LINEによる保険相談の利用者は若年層が8割。期待通りの成果が表れた。また、若年層はお昼休憩などのすき間時間を利用して保険相談をしていることが分かってきた。小さな子どもを抱えていたり電話での相談を躊躇(ちゅうちょ)してしまったりする若年層には、空き時間にLINEで保険相談できる方が受け入れやすい。

 ライフネット生命では今後もLINEによる保険相談窓口を強化していく方針だ。そして具体的に3つの課題を掲げている。1つ目は、単なる窓口として相談者を待ち構えるだけではなく未加入者に対してもきちんとサポート可能な体制を整えること。2つ目は、保険に対する興味を促す仕掛けを用意すること。そして3つ目は、利用者のライフスタイルに合わせるために、いつでも相談可能な環境を整えることだ。これらの課題を改善するため2017年1月、LINEの保険相談に満を持してチャットボットを導入した。また、LINEだけでなく「Facebook Messenger」にも対応。チャットボットの自動応答と有人対応の切り替えが可能になったことで、従来よりも柔軟な体制で保険相談を受け付けることが可能になった。

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