第3回 財務の視点 〜コミュニケーション戦略目標の“見える化”〜:【連載】コミュニケーションデザインのための戦略フレームワーク(1/2 ページ)
コミュニケーション戦略目標について「いかに会社を存続させるのか」を起点に検討しましょう。事業存続には2つの達成目標があります。「財務力」と「企業の社会的責任(CSR)」です。今回は「財務力」に的を絞り、コミュニケーション戦略目標の組み立て方を解説します。
どんな施策でも見通しなくことが進められているわけではなく、意図や目論見があります。つまり、これからしようとすることには、おおよその予想や計画があり、心の中であらかじめ「こうしよう、こうなるだろう」といった想定があって施策が実行されているものです。
マーケティングコミュニケーションを遂行していくことも同様で、そこには何らかの目論見や狙いがあるはずです。
案外おろそかになりがちな観点ですが、コミュニケーション施策を組み立てる上で、ビジョンや目的、活動の価値をあらかじめ“見える化”し、関係者の間で共有しておくことがとても重要です。そして、コミュニケーション施策の「なぜ(Why)?」となる目的や狙い、企業の価値を捉える部分が“財務の視点”です。
コミュニケーション戦略の目的
「経営層が気にかけていることは何か?」、そう聞かれたらあなたは何と答えますか。
「企業のブランド価値を高めること」「売上を高めること」「コストを削減すること」などが返ってくるのではないでしょうか。でも、どれも本質的な答えではありません。
経営層が日々悩んでいることを集約すると、「いかに会社を存続させるか」に行き着きます。これは改めて指摘されないと特に意識しないことです。企業の使命は事業を継続すること(ゴーイングコンサーン)なのです。
コミュニケーション戦略目標は、「いかに会社を存続させるのか」を起点に検討されなければなりません。そうすると2つの達成目標が見えてきます。1つは「財務力」です。一般に「財務力」は、「収益性」「効率性」「成長性」「健全性」が問われます。そしてもう1つは「企業の社会的責任(CSR)」です。企業は社会的存在として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域、社会の顕在的/潜在的な要請に応え、より高次の社会貢献や配慮、情報公開や対話を自主的に行なっていかなければなりません。
そして、マーケティング活動とは、この2つの達成目標のうち、主に「財務力」における「収益性」「効率性」「成長性」を高めていくこと、と捉えることができます。つまり、コミュニケーション戦略の目的は、「マーケティングROIを高める」ことになるわけです。
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