ビッグデータで顧客の「気持ち」をつかむニッセン(1/2 ページ)
通信販売大手のニッセンは、ソーシャルメディアへの書き込みを分析対象として新たに取り込み、さらにプロセスも共有、一貫性ある顧客対応を実現すべく、全社規模の情報統合基盤構築に取り組んでいる。
「技術先行ではビジネスに根付かない。“ビッグデータ”も打ち出の小づちのようにいわれているが、まだビジネスとのかい離がある」── ビッグデータのブームに沸くIT業界に冷静な目を向けるのは、通信販売大手、ニッセンのIT企画室でアーキテクトを務める横手慎一氏だ。ソーシャルメディアなどへの書き込みをマーケティングに生かそうという取り組みに着手する中、その大切さと難しさを実感している。先週、都内のホテルで行われた日本テラデータの年次カンファレンス、「Teradata Universe Tokyo 2012」で話を聞く機会を得た。
1970年、京都の染色メーカーから独立し、呉服のカタログ通販を始めたニッセンは、その設立間もないころからデータベースマーケティングに取り組み、分析をコアコンピタンスとする。
「通販はカタログ作成と送付で大きなコストが掛かるビジネス。闇雲にカタログを送っても無駄ばかり。そのコスト抑制が取り組みのスタートだった」と横手氏。
2000年には本格的なオンライン通販サイト「ニッセンオンライン」を開設し、現在は売り上げの半分以上がWebサイトから生み出されているものの、手に取ってすぐ開ける紙媒体にはメインの顧客である主婦層への高い訴求力があり、年5回カタログを作成している。
横手氏は、「手にカタログを持ちながら携帯電話やPCから購入してもらうのが理想の組み合わせ。Webサイトでは、紙媒体の限られたスペースを補完したり、いわゆる“ワン・ツー・ワン”のマーケティングを実現できる」と話す。
ただ、時代とともに顧客とのチャネルが多様化し、それらの業務ごとに分析システムもつくられたため、顧客セグメンテーションなどを行う「アドホック分析システム」、メールマーケティングなどを管理する「コンタクト管理システム」、カタログ送付などを管理する「定型予測分析システム」など、複数のデータベースに「データ」「分析結果」、および「施策履歴」がばらばらに蓄積されている。
「このままでは同じような処理がそれぞれ行われ、社員・部署間の連携も思ったようにいかず、顧客コンタクトの整合性にも影響を及ぼしかねない」と横手氏は課題を口にする。横手氏は、以下のような3つのステップからなるロードマップを作成し、単なる情報だけでなく、知見やノウハウも共有、より効果的な施策の立案と顧客対応の一貫性を実現できる理想の情報系システムを目指すことにした。
- 分析パフォーマンスの改善
- ビッグデータの活用
- 全社規模のデータウェアハウス構築
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