「あらゆる企業がビッグデータを活用できるように」 テラデータが事業戦略発表
昨年度に業績を大きく伸ばしたテラデータは、企業のビッグデータ活用に対するソリューションの拡充を図る。
日本テラデータは3月9日、記者およびアナリスト向けに2012年度の事業戦略などを説明した。業績好調だった前年度の勢いそのままに、“ビッグデータ”に対する顧客企業の取り組みを積極的に支援していくとした。
「2011年度通期は記録的な業績を達成した」──。来日した米Teradataのマイク・コーラー社長兼CEOはこう力を込める。売り上げは前年比22%増の23億6200万ドル、非GAAP営業利益は5億5700万ドルで同26%増だった。売り上げ増の要因として、社員の増員やパートナー企業の開拓、企業買収による製品ポートフォリオの拡充など、戦略的なビジネスに対する投資が実を結んだ結果だとコーラー氏は分析する。
今年度も10〜12%の二桁成長を見込む。それを実現するための戦略目標として、昨年2月に買収したAprimoによる統合マーケティング管理分野をリードしていくこと、業界をリードするDWH分析データ基盤を提供すること、ビッグデータを分析マーケットの主戦場に普及させることを挙げた。
「現在、ビッグデータを活用するのはエンジニアを数多く抱えるネットビジネス企業など限られている。あらゆる企業がビッグデータを使えるようにしたい」(コーラー氏)
Teradataは全世界で1300社以上の顧客を抱えているが、昨年来、大容量データ分析のための新製品を投入するなどして、既存ユーザーでの利用領域拡大や新たな業種からの受注が増えているという。日本市場も例外ではない。昨年はニッセンやユーコープ、大手証券、大手精密機器など、新しい業種・業態で同社のシステムを導入するケースが見られた。また、金融機関ではこれまで勘定系システムでの採用が多かったが、情報系システムとしての導入も進んでいるという。
こうした企業の動向を受けて、日本テラデータではEDW(エンタープライズデータウェアハウス)コンサルタントや業界コンサルタントを増員し、顧客の情報活用ニーズに対応。データの分析結果を行動に結び付け、競争優位を確保するように図っていく。加えて、運輸、証券、製薬、生損保といった分野での新規顧客開拓や、ソフトウェアおよびビジネスパートナーとの協業をさらに強化する。
ストレージディスクサイズを小型化して性能アップ
そうした中、新製品として同日より販売を開始したのが、データウェアハウス(DWH)用並列プラットフォームの最上位機種である「Teradata Active Enterprise Data Warehouse 6690(Active EDW 6690)」と、DWH用アプライアンス「Teradata Data Warehouse Appliance 2690(Teradata 2690)」だ。
Active EDW 6690は、高性能なソリッドステートドライブ(SSD)と大容量のハードディスクドライブ(HDD)のハイブリッド型ストレージに仮想化ストレージ技術「Teradata Virtual Storage」を搭載。複数のストレージを仮想的に1つのストレージ空間として、各ディスクのパフォーマンスを自動的に識別し、頻繁に使用するデータは高速処理が可能なSSDに、あまり利用しないデータはHDDに保存できる。
Active EDW 6690では、SSDとHDDのディスクサイズを前機種の3.5インチから2.5インチへと変更した。これによって搭載可能なドライブ数は2倍となったほか、単位データあたりのパフォーマンスはHDDベースの最上位機種「Active EDW 6650」と比べて最大2.2倍向上した。
Teradata 2690は、エントリーレベルのDWH向けにハードウェアとソフトウェアをあらかじめパッケージ化したプラットフォーム。新製品では初めてハードウェアによるデータ圧縮エンジンを標準搭載しており、ブロックレベル圧縮をサポートする。出荷時に3倍の圧縮が設定されているため、導入してすぐに利用可能だという。スキャンパフォーマンスは前機種と比較して2倍に向上した。
また、日本テラデータはDWHを中心とするデータ分析システムを有機的に連携させ、効率的に活用、管理するコンセプト「Teradata 分析エコシステム」を発表した。それを実現するソフトウェアとして、個別に稼働するマルチシステム環境を組織化された分析エコシステムへと変える「Teradata Unity」、Teradataシステム間のデータのコピーを自動化する「Teradata Data Mover」、アプリケーションを監視、管理するためのソリューション「Teradata Multi-System Manager」を提供する。
新製品の価格は、Active EDW 6690がハードウェア、ソフトウェアを含む最小構成で1億5000万円(税別)から、Teradata 2690が3500万円(同)から。Teradata Data Moverは4月末から販売開始し1200万円(同)から、Teradata Multi-System Managerは6月末から販売開始し2000万円(同)から。Teradata Unityは価格未定で、9月末から販売開始する予定。
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