ECサイトの注力項目、「集客」から「サイト内施策」にシフト
ECサイトの売り上げ増を見込み、「サイト内での施策」に注力する企業が増えていることが矢野経済研究所の調査で明らかになった。インターネット広告の費用対効果の低下に伴い、ECサイト内でLPOやEFOを実施する機運が高まっている。
矢野経済研究所は8月2日、EC(電子商取引)サイトの集客や販売促進に関連する調査結果を発表した。
ECサイトの売り上げ拡大 鍵を握る「サイト内施策」
ECサイトの売り上げ拡大において企業が最も重視している施策は、「サイトへの集客」が37.1%でトップだった。「サイト内での施策」(33.0%)、「既存顧客に対する施策」(29.9%)が続いた。
3年前に実施した同じ調査では、「サイトへの集客」(70.2%)、「既存顧客に対する施策」(17.0%)、「サイト内での施策」(12.8%)という割合だった。3年前と比べて、サイト内での施策が12.9ポイント増え、サイトへの集客が33.1ポイント減った。
矢野経済研究所は、ECサイトを展開する企業の意識が「サイトに来てもらうこと」から「訪問者に商品を買ってもらうこと」に移り変わっていると指摘する。
LPOやEFO実施の機運高まる
現在までECサイトで注力してきた効果検証を、「サイトへの集客」および「サイト内での施策」の2つの視点で調査した。
集客では「配信したメールマガジン」の効果測定が75.2%で1位だった。「SEO(検索エンジン最適化)」(56.4%)、「インターネット広告」(55.4%)が続いた。サイト内施策の上位は、「サイト制作」(83.2%)、「レコメンド/関連商品」(58.4%)、「LPO(ランディングページ最適化)」(55.4%)となった。
今後注力する効果検証項目も聞いたところ、集客では「メールマガジン」(73.3%)、「SEO」(56.4%)、「インターネット広告」(46.5%)が上位になった。サイト内施策では「サイト制作」が86.1%、「LPO」が72.3%、「レコメンド/関連商品」が68.3%だった。
矢野経済研究所は、効果測定に対する現在と今後の意向について、サイト内施策に対する効果検証の意識が高いと分析する。「LPO」(現在と今後の意向で16.9ポイント差)、「EFO(エントリーフォーム最適化)」(13.9ポイント差)に注目し、「今後はサイト内での施策の効果検証を強化する企業が増えていく」と推察する。
インターネット広告の費用対効果が低下
矢野経済研究所は「サイト内での施策」が重視される要因の1つとして、「インターネット広告の費用対効果の低下」を挙げる。同社は、リスティング広告や大手ポータルサイトに掲載する純広告の単価上昇が、費用対効果を低下させているとコメントしている。
サイト内施策であるLPOに対する企業の意識の高まりは、ECサイトの離脱率低下およびコンバージョンレート(成約率)の引き上げを意識したものだという。
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