卓球「Tリーグ」と「TikTok」のコラボレーションがお互いにもたらすメリットとは「デュエット機能」もフル活用(1/2 ページ)

認知拡大を課題とする卓球新リーグとファン層拡大を狙う大人気の動画SNS。パートナーシップの裏にある双方の思惑と協業の成果についてまとめた。

» 2019年06月24日 20時00分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]

 2018年に10月に開幕した日本の卓球リーグ「Tリーグ」。ここには、世界レベルのトップ選手を擁するチームが集う一方、卓球を趣味とする人々による地域のチームまで、さまざまなチームがプロアマ混合で参加することを想定している。

 初年度の2018〜2019シーズンは、全国から男女各4チームの全8チームが参戦。男子では張本智和選手と水谷 隼選手が所属する「木下マイスター東京」が、女子では、女子卓球黄金世代の1人として注目される18歳の早田ひな選手を擁する「日本生命レッドエルフ」が初代王者とった。

 Tリーグの運営を担う一般社団法人Tリーグでは、活動理念として以下の3つを掲げている。

  1. 世界No.1の卓球リーグを実現する
  2. 卓球のスポーツビジネス価値を高める
  3. 卓球を通じて人生を豊かにする

 日本の卓球界のレベルを底上げし、日本のスポーツ文化の中で卓球の存在感を高めていくためにはまず、活動を持続可能なものとしなくてはならない。

 野球のNPBを筆頭に、サッカー「Jリーグ」やバレーボール「Vリーグ」、バスケットボール「Bリーグ」など、他のスポーツリーグがひしめく中でTリーグをどうすれば知ってもらうことができるのか。卓球への興味を喚起してどうファン化すればいいのか――。

 これらの難題を解決する上では、リーグの認知度を上げるためのマーケティング活動が欠かせない。そこで、Tリーグの魅力を発信するための重要ツールとして白羽の矢が立ったのが、動画共有アプリ「TikTok」だ。

有名選手がハッシュタグチャレンジ

 TリーグはTikTokを提供するByteDanceと2018年10月にPRパートナーとして提携し、TikTokをTリーグ公認アプリとしてリーグ開幕からさまざまな施策を実施してきた。具体的にはTリーグ本体とTリーグ所属の8チームがTikTok上に公式アカウントを開設。ここで選手のオフショット動画などを配信している

 Tリーグ(tleague_official)のファン(フォロワー)数は本稿執筆時点で2万2000。Tリーグでは「Twitter」や「Instagram」「Facebook」でも公式アカウントを設けているが、それらの中でもTikTokのファン数は圧倒的に多い。

 また、各チームのアカウントとも足並みのそろったプロモーションを実現している。各チームでは選手の紹介動画のフォーマットを統一し、これに「#tリーグガイド」のハッシュタグを付けている。これを集約することで、ファンは紙のパンフレットに代わるデジタルガイドブックをTikTok上で閲覧できる。

 Tリーグに関する動画は、「#tリーグ」を付けて投稿している。これの総視聴回数は3700万を数える。

 また、お題に合わせてポーズを取る「#言いなり選手権」や「#全力○○」など、TikTokでおなじみのハッシュチャレンジ企画も実施しており、有名選手も参加して大きな話題を呼んだ。この他人気のTikTokerを試合に招待してTリーガーとの夢のコラボ動画を公開するといった取り組みも行っている。

 さらに、2019年6月10日から3日間限定で、張本選手の精度の高い「チキータ」や、早田選手の強烈な「ドライブ」など、総勢20人ものTリーグトップ選手が登場して渾身の得意技を披露する卓球教室も実施した。

張本選手や早田選手もハッシュタグチャレンジに参戦
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