日本人がまだよく知らないYextと「DKM」のことニューヨーク発デジタル新潮流(2/2 ページ)

» 2018年11月13日 11時00分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]
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先進企業の事例

 これらの問題を解決するのがYextだ。Yextはブランドの公式情報を管理するハブとして機能する。店舗が移転したり営業時間が変更になったりメニューが増えたりしたら、Yextに登録されたマスター情報さえ変更すれば、全てのチャネルの情報が自動的に更新される。

 Yextでは、Googleマップをはじめとする地図に検索エンジン、SNS、レビューサイトなど、100を超えるプラットフォーム上の情報を管理できる。米国ではDenny's、Marriott、McDonald、T-Mobileなど名だたるブランドをはじめとする数千の企業がYextのサービスを利用している。

 日本でも、ヤマト運輸がYextを導入し、全国約4000店の直営店を対象に、各店舗の営業時間や所在地、手荷物預かりなどのサービスの有無をクラウド上で一元管理している。これにより、直接統合している国内16以上のプラットフォーム上の情報を一括更新可能になり、より良い顧客体験を提供できるようになった。

 また、全国に230の飲食店を展開するTBIホールディングスでも、店舗情報管理にYextを活用している。同社では、総合居酒屋やバル・ダイニングだけでなく、インスタ映えするしゃぶしゃぶ・焼肉食べ放題店やハチミツ掛け放題の創作イタリアン、日本一高級なチーズフォンデュ店などを展開しており、SNSを意識したプロモーションに力を入れている。同社ではYextを通じて正しい情報を掲載することで、モバイルで見て「行ってみたい」と思ったユーザーの行動を即座に促すことを狙っている。また、Yextが多言語での検索に対応していることから、海外のプラットフォームにおける情報を管理して訪日客の誘導(インバウンド)にもつながると期待している。

次世代のナレッジに求められること

 顧客体験を向上させる上で、自社に関する情報を統合管理できることはとても重要だ。しかし、それで終わりではない。Yext創業者兼CEOのハワード・レーマン氏はONWARDの壇上で何度も「Webサイトは賢くない」と訴えた。

 「Webサイトは1995年からほとんど進化していない。テキスト、カレンダー、写真、表組などが並んでいるだけだ。情報量だけは膨大になったが、それだけだ。ユーザーは自分の求める情報がそこにあると分かっていても、全部を読まないとそれが探し出せない。人間ならどうだろう。答えを知っている人がいたら、質問すればその人が答えてくれる。答えを探すためにこちらが考える必要はない」(レーマン氏)

Yext創業者兼CEOのハワード・レーマン氏

 求める情報の探し方を人間が自分で考えなければならないWebサイトから、人間に代わって考え、求める情報を探してくれるWebサイトへ。レーマン氏が予見する未来像は明確だ。

 そうした次世代のWebサイトにおいては、UI(ユーザーインタフェース)の在り方も全く変わってくるだろう。検索クエリをテキストで入力し、結果をテキストで読むという方法は現在のスタンダードではあるが、それが未来永劫続くとは考えにくい。音声入力の進化が著しい今日においては、もっとスマートな方法で情報にアクセスをしたいというニーズも高まってくるだろう。そうなれば、企業のナレッジの持ち方も変化を求められる。すなわち、Yextも進化しなければならない。

 具体的にはどのように? 次回は、ONWARD18で発表されたYextの新しいテクノロジーについて、掘り下げて紹介したい。

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