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» 2018年07月03日 08時00分 公開

B2Bマーケティング、今この人に聞きたい:ウイングアーク1st深尾 茂氏が目指す「技術」「営業」に次ぐ3本目の柱としての「マーケティング」 (1/2)

30年にわたりIT系B2B企業のマーケティング支援に携わってきたエキスパートが、マーケティング中心の経営を実践するB2B企業を訪ね、そのチャレンジについて聞く。

[濱口 豊,ビッグビート]

 今回訪れたウイングアーク1st(以下、ウイングアーク)は、日本において帳票市場、データ活用・BI市場をけん引するソフトウェア企業だ。

 データの価値を最大化することで組織と企業にイノベーションを起こすと標ぼうしている同社は、技術と営業の強い会社と評されてきた。そして今、3本目の柱としてマーケティングを立てることに決めたという。

 ウイングアークのチャレンジについて、マーケティング部 部長の深尾 茂氏に聞いた。

深尾氏と筆者 ウイングアーク1stマーケティング部 部長の深尾 茂氏(左)と筆者

外資系企業で培ったマーケティングスキルを生かせるフィールドを探して

 私が代表を務めるビッグビートは、2015年に創業20周年を迎えた。そのとき胸に押し寄せた「次の世代に向けて、何か世の中に役立つ取り組みがしたい」という思いを基に「Bigbeat LIVE」というB2Bマーケターのためのイベントを2017年より開催している。そのことを語ると深尾氏は大きくうなずき、「私と思いは同じかもしれない」と、ウイングアークに転職した経緯を語り始めた。

 「私は前職が外資系企業でしたので、本当は次も外資系企業に転職する方が、私のマインドに合っていたのです。しかし、自分にできる社会貢献とは何かと考えたときに、自分の持っているマーケティングのスキルを日本の事業会社で生かすことではないかと気付き、5年前にウイングアークにジョインしました」(深尾氏)

 深尾氏がウイングアークに入社した当時、同社のマーケティング部門はマーケティングという名前は付いていても、実質的なマーケティングはやっていなかったという。日本企業では、よくある話だ。

 そこで深尾氏は、まず本来あるべきマーケティングのフレームワークを導入することから着手した。当時はマーケティングリードが年間数千件ほどしかなく、この数字は投資に対して非常に少ないものであると感じた。そこでマーケティングの第一歩として、マーケティングリードを増やすことに注力した。その結果、これを3年で8倍ほどに増やすことができたという。

深尾 茂氏 深尾 茂氏

B2Cマーケティングの要素を取り入れる

 「これからはデザインドリブンでデザインファーストの時代になる」と予測していた深尾氏が次に手を付けたのが、B2Cマーケティングの要素である顧客体験も含めたデザインを、B2B企業であるウイングアークに取り入れることだった。

 「企業のブランド力でモノやサービスが選ばれていく時代の中で、顧客体験も含めたデザインがB2Bマーケティングでも重要になってくると考えたのです。ちょうどわれわれの製品・サービスも、ソフトウェアからクラウドサービスへとシフトチェンジを始めた頃でしたので、そうなると余計にB2Cマーケティングの要素を取り込む必要がありました」(深尾氏)

 B2Cマーケティングの要素を取り入れるために、深尾氏が重視したのがチーム作りだった。2018年の「Bigbeat LIVE」に登壇予定の野島 光太郎氏は、アートディレクターとしてキャリアを積んできた人物だ。ウイングアークは、デザイン思考を取り入れ、チームに刺激を与える存在として野島氏のような異色の人材をあえて仲間にすることで、新しい力を生み出してきたのだ。

 「ウイングアークは技術の会社、営業の会社といわれてきましたが、マーケティングの会社といわれたいというのが、今のトップマネジメントの強い意思です。マーケティングが会社をリードする立場でないと、会社が成長できない。だからこそ、マーケティングを強くするための人材投資は積極的に行っています。私が入社した当時のマーケティング部門には5人ほどしかいませんでしたが、現在は14人にまで増えました」(深尾氏)

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