中古車の「ガリバー」がモバイルWebサイトのスピード改善に取り組む2つの理由【連載】売り上げにつながるスピード改善 第4回

中古車買い取り・販売の「ガリバー」は、なぜモバイルWebサイトの表示スピードを高速化するのか。運営元であるIDOM(イドム)に聞いた。

» 2018年02月14日 07時00分 公開
[占部雅一デジタルハリウッド大学]

 2016年7月に「ガリバーインターナショナル」から社名変更したIDOM(イドム)はもともとクルマ買い取りと卸の専門業者だったが、2008年に経営者が交代し、小売りにも注力し始めた。

 現在では高級輸入車の「LIBERALA」、クルマの大型展示場「WOW! TOWN」、ショッピングモール内に展開するライフスタイル提案型の「HUNT」、質の高い中古車をより手軽に購入できる「アウトレット」など、新業態にも力を入れている。

 また、2015年には個人間売買の「ガリバーフリマ」を、2016年には「月額定額クルマ乗り換えホーダイ NOREL」を立ち上げるなど、これまでにない新たな事業も仕掛ける。

 IDOMのベンチャー精神はWebビジネスにおいても顕著だ。トレンドにいち早く反応し、さまざまなテクノロジーの導入にも貪欲的である。

IDOMのモバイルWebサイト《クリックで拡大》
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IDOMが陥った2つの落とし穴  

村田 創(はじめ)氏 1972年生まれ。IDOM ガリバー・マーケティングチーム デジタルマーケセクションWebマスター。5年間の新車ディーラー勤務後、ガリバーインターナショナル(現IDOM)に入社。車検一括見積もりサイトの運営や新規業態チャネルの立ち上げを経て2014年秋よりデジタルマーケティングの世界へ

 IDOM ガリバー・マーケティングチームの村田 創氏は、同社のメインサイトである「ガリバー」をはじめ、さまざまなWebサイトで表示スピード改善に取り組んでいる。

 2016年、IDOMはインターネット戦略において大きな落とし穴にはまってしまった。オウンドメディアにおけるGoogleからの検索流入数が対前年比40%減と、大きく落ち込んでしまったのだ。2014年から2015年にかけては20%増を果たしていただけに、青天のへきれきといえる。

 「自分たちの想定していたお客さまへの向き合い方、つまりSEOやCXO(カスタマーエクスペリエンス最適化)がズレてしまった」と村田氏は振り返る。

 原因の1つが、Googleによる検索アルゴリズムの変更だ。以前は「ガリバー」というブランド名だけを強調してコンテンツを展開すれば、少なくとも検索結果の1ページ目には必ず表示されていた。それが2ページ目以降に大きく下がってしまったのだ。また、アフェリエイトサイトや比較サイトの台頭も、検索順位の下降に追い打ちをかけた。IDOMにとって、これは大変な事件だった。

 誤算はもう1つあった。スマホサイトの表示スピードが大きく低下してしまっていたのだ。原因は、2015年に実施したWebサイトのリニューアル時にミドルウェアを入れ替えた際にシステム調整の不備が起こったためだという。

 同社のメインコンテンツでもあるLP、つまり査定申し込みページの表示速度は、リニューアル以前は4G(LTE)の通信環境で5秒未満だった。それが、8〜10秒にまで落ちてしまった。

 同社では当時、既にスマホからのアクセスが70%を越えており、75%を越えるのも時間の問題という状況であった。そうした中での表示スピードの遅延は、コンバージョン率を著しく下げてしまう。

コンテンツマーケティングの立て直しとスピード対策

 IDOMが施した対策は以下の2つだ。

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