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» 2017年08月03日 12時20分 公開

【連載】フルファネルで考える広告運用 第2回:なぜマーケティングコストが「高くつく」のか? 購買行動の全体像を捉え直す (1/2)

見込み客を「発掘」して顧客に「転換」し、売り上げを「拡大」する。購買ファネルの各段階で何が起こっているのか。今回はその全体像について解説します。

[小林圭介,AdRoll]

 この連載では全4回にわたって、マーケターに必要な考え方の基本をお伝えします。第1回「『ラストクリック依存』はなぜ失敗するのか?」では、デジタルマーケティングに取り組むマーケターが陥りがちな「ラストクリックへのこだわり」とその問題点、クリックだけでは測れない広告効果について説明しました。今回は、ユーザーの興味醸成から既存顧客のロイヤリティー向上までをカバーする「フルファネルマーケティング」の全体像について、詳しく紹介します。

本来ひとつながりであるはずの購買行動を分断してしまっていないか

 前回、ラストクリックを広告効果のKPIにする落とし穴として「既に最低限の興味を持っている一部のユーザーだけがマーケティング施策の対象になってしまい、クリックをしない大部分のユーザーを新規顧客として取り込む可能性を絶ってしまう」ということを指摘しました。

 これに対してフルファネルマーケティングは、購買ファネルにおけるそれぞれのステージで、一人一人のユーザーにとって本当に意味のあるアプローチを適切なタイミングで届けます。つまり「現時点ではまだ自社への関心度が低いユーザーも含めて、施策の対象にする」という考え方です。それでは具体的な考え方のプロセスを見ていきましょう。

 前回のおさらいになりますが、まず購買ステップを大きく3つの層に分けて考えます。

  1. 認知を獲得し、新規見込み客をWebサイトに誘導する(発掘:ATTRACT)
  2. 訪問者を顧客に変える(転換:CONVERT)
  3. 獲得した顧客のLTVを向上させる(拡大:GROW)
《クリックで拡大》

 購買行動を、1人のユーザーを軸に見た場合、ファネル(じょうご)の上の層に当たる「発掘」から下の層に当たる「拡大」のステップまで、その行動は分断されず1つにつながっています。ラストクリックのみをKPIとしたマーケティング施策は、このひとつながりであるはずのユーザー行動を、部分的に切り取ってしまっているといえます。

 ユーザーは本来、ひとつながりの行動の各場面において、製品やサービスに対する自分の興味度合いに応じた適切なアプローチを求めています。同時に、企業側のマーケティング施策も、各ステージでターゲットユーザー像と目的を設定しています。両者をクロスさせることで、企業はユーザーの行動を分断することなく継続的な顧客化(顧客のリピート化)を促すことができ、ユーザーは興味度合いに応じて自分の求める情報を求めるタイミングで受け取ることができるのです。

 例えば、あるECサイトにおいて売り上げを前年度比30%アップするというビジネスゴールが設定されているものの、現在の客単価を基に数値を試算すると既存顧客のアップセルやクロスセルだけでは目標を達成するのが難しいことが分かったとしましょう。

 ここでは新規顧客の獲得、すなわち「発掘」に向けた施策として、セール情報などをメールマガジンとして送ることにします。そこで、メールマガジン登録数が中間KPIに設定されました。

 担当者はメルマガ登録特典などによって新規会員登録を促しますがもちろん、ここでKPIを達成するだけでは当初のビジネスゴールを達成したことにはなりません。そこで、発掘した見込み客を顧客に「転換」して次のステップに進んでもらうための施策を実施します。例えば、一度訪問したサイトで閲覧した製品やサービスを、別のサイトを閲覧したときにもWeb広告で再表示したり、カートに入れたままの商品があることをメールでお知らせしたりといった施策です。

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