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» 2012年09月12日 08時00分 UPDATE

【連載】オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21:第2回 オウンドメディアを通じたコミュニケーションの「キャッチボール」

コミュニケーションには情報の受け手と送り手の相互理解が不可欠。ユーザーだけではなく、自社についても理解を深め、オウンドメディアを通じて、どんな情報(コンテンツ)をどのように伝えることができるかを把握しておこう。

[後藤洋(トライベック・ストラテジー)/福山一樹(電通),ITmedia]

本連載は「オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21」(ソフトバンククリエイティブ)をコンパクトに再編集したものです。


第1回の振り返り

 第1回は、

  • 成功の法則1. オウンドメディアとは何かを理解する
  • 成功の法則2. 生活者のイマを捉え、行動態度変容の実態を知る
  • 成功の法則3. さまざまなリサーチで生活者のニーズを多面的に捉える
  • 成功の法則4. 誰とコミュニケーションしたいのかを考える

を解説しました。オウンドメディアの特性を理解することが成功のための最初のステップでしたね。

法則5.「理解する」ことからコミュニケーションは始まる

キャッチボールすることでコミュニケーションは生まれる

 相手がどんなことを考え、どのような価値観を持っているのか? それによって対話の内容や、伝えようとするニュアンスを変えたり気遣ったりしているのが自然です。インターネット上におけるコミュニケーションの「キャッチボール」にも同様に、「対話による相互理解」が必要です。

 とは言っても、インターネット上のメディアを通じた「キャッチボール」は、実際の対話ではありません。情報発信者側が、受け手の気持ちになって、どのような情報(コンテンツ)を、どういった方法で伝えれば伝わるのかを十分に考え、配慮することによって、しっかりと受け手側のニーズを満たすということがネットメディアを通じたコミュニケーションの「キャッチボール」と言えます。

 コミュニケーションにおける「キャッチボール」においては、あくまで相互理解が必要となりますので、情報の受け手であるユーザーだけのことを理解しているだけでは不足です。情報発信する側である自社についても改めて理解を深め、どんな情報(コンテンツ)をどのように伝えることができるのかが分かっていなければなりません。こうして、自社、そしてユーザーの理解ができたことの結果としてコミュニケーションにおける「キャッチボール」が成立するわけです。

 自社を理解するということは意外とできていないケースが多いのも事実です。特に大企業の場合は、組織や事業ミッションなどが縦割りになっているケースも見られ、横断的に自社の事業やその特徴について十分な理解ができていないこともあります。改めて自社の強み、弱み、競合他社との差別化ポイントなどを客観的に理解するような組織横断的なワークショップを設け、整理することも重要な作業となります。こうした作業の結果こそが、適切な「伝えるための」表現方法へとつながっていくことになります。

 そして自社の理解と同時にユーザーの理解も忘れずに行ってください。リアルなコミュニケーションがイコールインターネット上のコミュニケーションという考え方でも通用するという考え方は危険です。もちろんコミュニケーションの本質は同じですが、前提としてデジタルデバイス(パソコンやスマートフォンなど)とインターネットを介したコミュニケーションであるということを念頭に置いておく必要があります。

 インターネット上のコミュニケーションにおける「キャッチボール」を成立させるためには、自社への深い理解(自社の事業特性、強み、弱み、インターネット分野への取り組み度合いなど)と同時に、キャッチボールの相手となるユーザーへの深い理解が重要なことになるのです。

owned02_01.png キャッチボールする相手を考える

インターネットユーザーと向き合うためのリセット

 インターネットユーザーと向き合うことについて、もう少し理解を深めていきましょう。

 近年の急速なインターネット環境の普及によって、「インターネットとは何か?」を特に意識しなくても、ライフラインの1つとして当たり前のようにインターネットに触れている時代になりました。さらに昨今のスマートフォンやタブレット端末などのデバイス機器の急速な普及が、生活者のインターネット上の情報アクセスをより加速させ、これまであまりインターネットを使ったことのなかったユーザーも、こうした情報に触れ始めているということも現実です。ますます進化するデバイス機器、そして高速化するインターネット環境、次々とリリースされる新サービス。こうした状況を考えても、将来的にもこの勢いは止まることを知りません。

 こうした状況の中では、企業のコミュニケーション担当者が、情報技術のトレンドや変化のスピード、わかりにくいテクノロジー用語やインターネットの新サービスによる生活者の態度変容に翻弄されてしまうことがよくあります。

 こうした現象は、普段からそれほどインターネットに触れていない方々がネットコミュニケーションを主に担当する部署に移動になった場合に多く見られます。まず自分自身が1人のユーザーとしてインターネットに慣れる必要があります。少しずつでもいいので、インターネットに触れる機会を増やし、徐々に慣れていく。そうすることが、インターネットユーザーの気持ちに近づく最短の近道であると言えます。

owned02_01.png ジョブローテーションで急にWeb担当者に!

 オウンドメディアコミュニケーションは、必ずしもネットリテラシーの高い企業担当者によって作られるものではありません。大事なのはユーザー視点です。ユーザーと同じ気持ちになることが、オウンドメディアコミュニケーションの担当者として不可欠なことなのです。

 そもそも自社のオウンドメディアがネットリテラシーの高いユーザー基準で考えられて設計されていると、結果として伝えたいことが伝わらないといったコミュニケーションロスの状況に陥ることがあります。担当者自身のネットリテラシーが高い場合、すべてのユーザー基準を自分基準にしてしまいがちですが、あくまで基準はユーザーです。もっとも多いネットリテラシーレベルはどこなのかを考えてください。この想定のなかで、ユーザーの気持ちを考えましょう。こうしたユーザー想定の上でコミュニケーションを設計していれば、より多くの重要なユーザーとの接点を持つことが可能です。オウンドメディアはネットリテラシーに関わらず、多くのユーザーとコミュニケーションできるメディアなのです。

owned02_01.png どのリテラシーレベルが基準か?

自社の顧客は誰か? 原点に返ってメディアターゲットを再考する

 あなたの会社は、ユーザーとどのようなコミュニケーションをして、何を伝え(何に興味を持ってもらい、何を理解してもらうのか)、どのような行動を起こしてもらいたいのか。このことについて今一度考えてみてください。

 自社の顧客、ステークホルダーはどんな生活者なのかをイメージしてください。そして、そうしたユーザーがインターネットを介して情報を取得するときに、企業のメディアに何を期待してアクセスしてくるのかを考えましょう。

 オウンドメディアコミュニケーションにおいて、こうした原点回帰でターゲットを検討することは大変重要なことなのです。

 私たち生活者は、オウンドメディアを含め、多くのメディアを通じてコミュニケーションにおける「キャッチボール」をしながら、情報を得ています。こうした接点において、ユーザーを「理解」し、あなたの会社におけるコミュニケーションメディアの役割を整理し、そのなかでオウンドメディアがもたらす効果を見出し、最適なコミュニケーション設計を心がけることが重要です。

寄稿者プロフィール

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トライベック・ストラテジー 取締役COO 後藤洋 慶應義塾大学法学部卒。ソフトバンクにて出版広告営業や新規事業開発におけるマーケティングに従事。2002年よりトライベック・ストラテジーに参画。IT、商社、医薬、飲料、金融、エンタテインメント、アパレルなど大企業の多岐に渡るプロジェクトのコンサルティングに従事。現在、取締役COOとして、コミュニケーション分野、デジタルマーケティング分野において、多くの講演、寄稿を手掛ける傍ら、内閣官房国家戦略室のプロジェクトである「国家戦略Webコミュニケーション検討チーム」にコンサルタントして参画している。

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株式会社 電通 プロデューサー 福山一樹 慶應義塾大学経済学部卒業後、電通に入社。同社クリエーティブ部門にてCMプランナー、コピーライターとしてTVCM、新聞/雑誌広告、ラジオCMを制作。その後、営業部門にて飲料、アパレル、自動車などの業界を担当。2009年4月よりインターネット部門にて現職。エネルギー、運送、製薬、食品などの業界で主にコーポレートサイトを中心とした大規模プロジェクトに従事。

連載バックナンバーはこちら⇒【連載】オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21


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