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» 2010年10月26日 15時20分 UPDATE

IBM Information on Demand 2010 Report:洞察力――進化を遂げる企業の情報活用

ラスベガスで開催中の「Information on Demand 2010」では、従来型の「情報の見える化」や「情報管理」にとどまらない新たな情報活用の羅針盤が示された。

[伏見学,ITmedia]

 米国・ネバダ州ラスベガス。「アメリカン・ドリーム」のシンボルともいえるこの街が今、厳しい状況に立たされている。世界を震撼させた経済危機によってラスベガスのカジノ産業は大きな打撃を受け、超大型ホテルの建設プロジェクトが破たんするなど、いまだかつての輝きを取り戻せずにいる。同州の今年9月の失業率は全米最悪の14.4%で、今月22日には選挙戦でラスベガス入りしたオバマ大統領が雇用対策を訴えるなど、同都市の今後の動向に国内外が注目している。

マッカラン国際空港のほど近くにある、東南アジアのリゾート地をモチーフにしたマンダレイベイホテル マッカラン国際空港のほど近くにある、東南アジアのリゾート地をモチーフにしたマンダレイベイホテル

 そのラスベガスにあるマンダレイベイホテルにおいて米国時間の10月25日、データベースやビジネスインテリジェンス(BI)など米IBMのデータ関連製品ブランドにおける年次カンファレンス「Information on Demand 2010」が開幕した。今年の同カンファレンスは、「Gain Insight. Optimize Results.(洞察の獲得、結果の最適化)」をテーマに掲げ、CognosやSPSSといったビジネス分析製品を対象としたユーザー向けイベント「Business Analytics Forum」を新たに併設。“ビジネスの将来の可能性”を求めて1万人を超す参加者が詰め掛けた。

 日が昇って間もない早朝から行われたオープニングの基調講演には、IBMでミドルウェア/ソフトウェア部門のシニアバイスプレジデントであるロバート・レブランク氏が登壇し、企業がさらなるビジネス成長を遂げるためには、単なる情報の見える化にとどまらず、情報やデータに対する深い洞察が不可欠だと強調した。

情報が経営の意思決定を左右する

 情報活用の重要性を認識しながらも、一方でそれを課題としている企業は多い。IBMが世界60カ国、1500人以上のCEOを対象に実施した調査「IBM Global CEO Study 2010」によると、今後5年間で自社が強い影響を受ける外部環境要因について、グローバル全体で61%のCEOが「情報の激増」を挙げており、今後5年間で重視する取り組みに関して、76%のCEOが「情報分析力の向上」と回答している。

ミドルウェア/ソフトウェア部門のシニアバイスプレジデントであるロバート・レブランク氏 ミドルウェア/ソフトウェア部門のシニアバイスプレジデントであるロバート・レブランク氏

 別の調査を見てみよう。米IDCが今年5月に発表した内容によると、2009年にデジタルユニバース(情報の宇宙)のサイズは80万ペタバイトだが、2020年には約44倍に当たる35ゼタバイトにまで膨れ上がるとしている。このように今後増え続ける情報をいかに分析していくのか。「企業は日常業務の中で大量の情報を作り出しているが、重複するデータや信頼性の低い情報も多く、これらを見極めて分析しないと最終的に間違った判断を下してしまう。企業の意思決定は情報の質に左右されるのだ。意思決定の質を下げるという過ちを防ぐために不可欠なのが情報のガバナンス(統治)である」とレブランク氏は語る。

 では、いかに情報の統制を図り、効果的な情報活用が実現できるのか。それに対する回答がInformation On Demandの製品群だという。中でも特にレブランク氏が強調するのが「ビジネスアナリティクス(Business Analytics:BA)」である。BAとは、企業内に散在する情報を抽出し、モニタリングから分析、予測、計画までを1つのシステムで提供するというもので、経営者から一般社員まであらゆるレベルの意思決定者に対してビジネス上の行動実施につながる洞察を与える。

「BAは企業内の情報を見るためだけのものではなく、ビジネスで競合他社の一歩先を行くドライブとなり得るものである。今後、業界を問わず、BAを中心にビジネスを考えていくことが企業価値を高める上で肝要となろう」(レブランク氏)

VISAの情報活用戦略とは

 こうしたBAの考え方や手法を既に企業文化に取り込んでいるのが、クレジットカード大手の米VISAである。ユーザーセッションに登場した同社CIO(最高情報責任者)のマイケル・ドライヤー氏は「情報活用こそがVISAのDNAだ」と断言し、(情報活用によって)顧客満足度(CS)をより高めていくことが重要だと述べた。

米VISAでCIOを務めるマイケル・ドライヤー氏(右) 米VISAでCIOを務めるマイケル・ドライヤー氏(右)

 CS向上の取り組みの一例として、VISAでは詐欺をはじめとするクレジットカードの不正利用を検知するシステムを構築している。具体的には、BAツールなどを活用して1秒間に数万のトランザクションをリアルタイムで処理し、カード決済などで不審な行動パターンがあれば、不正記録としてユーザーに数秒で情報提供している。これによって瞬時にカード詐欺被害を防ぐ、または最小限に食い止めることができるようになり、グローバルで年間数億ドルの被害コストを削減したという。「単に技術やツールを使えば良いのではなく、どのように情報を分析するのかあらかじめゴールを決めて、それに向けた情報管理やルール作りを徹底したことが成功につながったのだ」とドライヤー氏は力を込める。

 ただし、そのような環境を整えていたとしても、扱う情報自体に問題があれば効果は出ない。ドライヤー氏は「情報活用には、正しい情報、適切なデータが必要であり、そのためには、顧客が何を求めているか、ビジネスドライバーが何であるかを把握することが欠かせないのだ」と語った。


 同カンファレンスでは、IBMの代表的なBAツールである「Cognos」の新製品発表などが予定されている。詳細は追ってレポートする。

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